SAA ストレージ選択ガイド|S3・EBS・EFS・FSx・Storage Gateway の要件別選択基準

AWS SAA-C03 で問われるストレージ選択の判断軸を完全整理。S3(オブジェクト)・EBS(ブロック)・EFS(ファイル)・FSx・Storage Gateway の5サービスを「アクセスパターン」「共有要件」「オンプレ連携」の3軸で即断できる粒度で解説。試験頻出ひっかけと正しい打ち手も完全網羅。

「どのストレージを選ぶか」という問いに、SAA-C03 は3軸しか使わない。 S3・EBS・EFS・FSx・Storage Gateway はいずれも「データを保存する」サービスだが、「単一EC2に高速ブロックデバイスが欲しい」「複数インスタンスで同一ファイルを共有したい」「大量オブジェクトを安価に保存したい」「オンプレミスとクラウドをシームレスに繋ぎたい」の局面で答えが明確に分岐する。攻略の核心は**「アクセスパターン(ブロック vs ファイル vs オブジェクト)」「共有要件(単一 vs 複数インスタンス)」「オンプレ連携の有無」の3軸**で要件を分類することだ。本記事では、SAA-C03 のストレージ問題を即断できる4設計パターンを、要件キーワードから逆引きできる粒度で解説する。

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📑 目次

  1. 結論:ストレージ選択の4設計パターン
  2. 3軸の判断フレームワーク
  3. パターン1:EBS — EC2 専属の高速ブロックデバイス
  4. パターン2:EFS / FSx — 複数 EC2 間のファイル共有
  5. パターン3:S3 + ライフサイクル — 大容量オブジェクト保存とコスト最適化
  6. パターン4:Storage Gateway — オンプレミスとクラウドの統合
  7. サービス比較:5サービスの特性一覧
  8. 要件キーワード早見表
  9. 頻出ひっかけパターンと正しい打ち手
  10. 次のアクション チェックリスト
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1. 結論:ストレージ選択の4設計パターン

SAA-C03 のストレージ問題を最短で解く骨格は、「何を保存するか(データの性質)」と「誰がアクセスするか(アクセス主体)」を先に決めることだ。

パターン主な技術典型的なシナリオ試験での見分け方
1. EBSgp3, io2 Block ExpressEC2 の OS・DB・アプリデータの永続化「単一 EC2」「高 IOPS」「低レイテンシ」「ブロックストレージ」
2. EFS / FSxEFS, FSx for Windows, FSx for Lustre複数 EC2 が同じファイルを同時読み書き「複数インスタンス共有」「NFS」「SMB」「Linux/Windows ファイルサーバー」
3. S3 + ライフサイクルS3 Standard, S3-IA, S3 Glacier静的ファイル配信・バックアップ・アーカイブ「オブジェクトストレージ」「ペタバイト」「低コスト」「静的ウェブサイト」
4. Storage GatewayS3 File GW, Volume GW, Tape GWオンプレのファイルサーバー/バックアップを AWS に移行・統合「オンプレミス連携」「既存アプリをそのまま」「S3 のバックエンド透過」

3軸の判断フレームワークを先に固めれば、4パターンのうちどれが正解かを即断できる。「1 EC2 のデータ永続化」なら EBS、「複数 EC2 のファイル共有」なら EFS/FSx、「巨大オブジェクトの保存」なら S3、「オンプレとの統合」なら Storage Gateway という流れだ。


2. 3軸の判断フレームワーク

ストレージ選択の3軸

AWS ストレージは「アクセスパターン」「共有要件」「ロケーション」の3軸で分類すると、選択肢が絞り込める。

ストレージ選択フローチャート:

Step1: アクセスパターンは?
  ├── ブロック(OS・DB レベルのディスク)→ EBS / Instance Store
  ├── ファイル(ディレクトリ構造・NFS/SMB)→ EFS / FSx
  └── オブジェクト(HTTP/API 経由のファイル)→ S3

Step2: 共有要件は?
  ├── 単一 EC2 専属              → EBS(マルチアタッチは例外)
  └── 複数 EC2 で同時アクセス    → EFS(Linux)/ FSx(Windows/HPC)

Step3: オンプレミス連携は?
  ├── なし(クラウドのみ)        → 上記を選択
  └── あり(オンプレと連携)      → Storage Gateway
問い答えの分岐
アクセスパターンブロック / ファイル / オブジェクトブロック → EBS、ファイル → EFS/FSx、オブジェクト → S3
共有要件単一 EC2 か複数 EC2 か単一 → EBS、複数 → EFS/FSx
オンプレ連携クラウドのみか既存オンプレとの統合かクラウドのみ → 上記、統合 → Storage Gateway

3. パターン1:EBS — EC2 専属の高速ブロックデバイス

概要

1つの EC2 インスタンスに高速なブロックデバイスを提供するパターン。OS のルートボリューム・データベース・アプリケーションデータの永続化に使用する。EC2 と同じ AZ 内に配置され、低レイテンシ・高 IOPS を実現する。

EC2 インスタンス(単一 AZ)
  ├── EBS ルートボリューム(gp3 — OS)
  ├── EBS データボリューム(io2 — データベース)
  └── EBS Snapshot → S3(バックアップ)

EBS ボリュームタイプ

タイプ種別最大 IOPS最大スループット用途
gp3SSD16,000 IOPS1,000 MB/s汎用(デフォルト推奨)
io2 Block ExpressSSD256,000 IOPS4,000 MB/s高 IOPS DB(Oracle/SQL Server)
st1HDD500 IOPS500 MB/s大容量スループット(ビッグデータ)
sc1HDD250 IOPS250 MB/sアーカイブ(低頻度アクセス)
Instance StoreNVMe数百万 IOPS一時データ(再起動で消える)

試験での要件キーワード

  • 「データベースのストレージを高 IOPS で」→ io2 Block Express
  • 「EC2 を停止してもデータを保持したい」→ EBS(Instance Store は不可)
  • 「EBS をバックアップしたい」→ EBS Snapshot(S3 に保存、増分方式)
  • 「gp2 から gp3 に移行してコストを下げたい」→ EBS Elastic Volume(無停止で変更可)

4. パターン2:EFS / FSx — 複数 EC2 間のファイル共有

概要

複数の EC2 インスタンスが同一のファイルシステムに同時アクセスするパターン。CMS・コンテンツ配信・CI/CD 共有ワークスペース・機械学習の学習データ共有に頻出。Linux なら EFS(NFS v4.1)、Windows なら FSx for Windows File Server(SMB)、HPC なら FSx for Lustre を選ぶ。

複数 EC2 インスタンス(異なる AZ も可)
  ├── EC2-A ──┐
  ├── EC2-B ──┼── EFS マウントターゲット(NFS v4.1)
  └── EC2-C ──┘      └── EFS ファイルシステム(リージョン全体で共有)

EFS vs FSx の選択基準

EFS vs FSx 比較
評価項目
EFS
FSx for Windows
FSx for Lustre
FSx for ONTAP
プロトコル NFS v4.1 SMB / NFS Lustre(独自) NFS / SMB / iSCSI
対応 OS Linux Windows / Linux Linux(HPC) Linux / Windows
スケール ペタバイト(自動拡張) 最大 64 TB 最大数十 PB ペタバイト
典型用途 Web コンテンツ共有・CMS Windows ファイルサーバー移行 HPC・機械学習・動画編集 NetApp 移行・マルチプロトコル
ストレージクラス Standard / IA(自動階層化) HDD / SSD SSD / HDD SSD / HDD
Active Directory 連携 なし あり(AD 統合) なし あり(AD 統合)

試験での要件キーワード

  • 「複数 AZ の Linux EC2 で同じファイルを共有したい」→ EFS
  • 「Windows ファイルサーバーを AWS に移行したい(SMB)」→ FSx for Windows File Server
  • 「HPC / 機械学習の学習データを高速共有したい」→ FSx for Lustre
  • 「既存の NetApp ONTAP をクラウドに移行したい」→ FSx for ONTAP

5. パターン3:S3 + ライフサイクル — 大容量オブジェクト保存とコスト最適化

概要

インターネット経由で HTTP/HTTPS でアクセスするオブジェクトストレージパターン。画像・動画・ログ・バックアップ・静的 Web コンテンツなど、構造化されていない大量データの保存に最適。ライフサイクルポリシーで自動的にストレージクラスを遷移させてコストを最適化する。

データの時系列ライフサイクル:

Day 0         Day 30         Day 90         Day 365
  S3 Standard → S3-IA      → Glacier IR  → Glacier Deep Archive
  (頻繁アクセス)(低頻度アクセス)(分単位取り出し)(数時間取り出し)
  $0.025/GB   →  $0.0125/GB → $0.004/GB  →  $0.00099/GB

S3 ストレージクラス一覧

ストレージクラス可用性取り出し料金用途
S3 Standard99.99%なし頻繁アクセス(Web コンテンツ・アプリデータ)
S3 Intelligent-Tiering99.9%なし(監視料 $0.0025/1,000オブジェクト)アクセスパターン不明・自動階層化
S3 Standard-IA99.9%あり($0.01/GB)月1回以下アクセス(DR バックアップ)
S3 One Zone-IA99.5%あり再作成可能なデータの低コスト保存
S3 Glacier Instant Retrieval99.9%あり($0.03/GB)四半期に1回アクセス(ミリ秒取り出し)
S3 Glacier Flexible Retrieval99.99%あり($0.01/GB)1〜12時間取り出しOKのアーカイブ
S3 Glacier Deep Archive99.99%あり($0.02/GB)7〜10年保存規制要件(最安値)

試験での要件キーワード

  • 「静的ウェブサイトのホスティングをしたい」→ S3 静的ウェブサイトホスティング
  • 「アクセス頻度に関わらずコスト最適化したい(予測不能)」→ S3 Intelligent-Tiering
  • 「コンプライアンスで10年保管が必要、コスト最優先」→ S3 Glacier Deep Archive
  • 「データを誤削除から守りたい」→ S3 バージョニング + Object Lock(WORM)
  • 「複数リージョンへの冗長化」→ S3 クロスリージョンレプリケーション(CRR)

6. パターン4:Storage Gateway — オンプレミスとクラウドの統合

概要

既存のオンプレミスアプリケーションを変更せずに AWS ストレージと統合するパターン。オンプレミスのファイルサーバー・テープバックアップ・SAN/NAS をクラウドに透過的に接続。バックエンドを S3 / S3 Glacier / EBS にしながら、既存アプリには変更なし。

オンプレミス
  ├── ファイルサーバー(NFS/SMB アプリ)
  │     └── S3 File Gateway ── バックエンド:S3
  ├── アプリ(iSCSI ブロックデバイス接続)
  │     └── Volume Gateway  ── バックエンド:S3 + EBS Snapshot
  └── バックアップソフト(テープライブラリ)
        └── Tape Gateway    ── バックエンド:S3 Glacier

Storage Gateway の3ゲートウェイタイプ

Storage Gateway 3タイプ比較
評価項目
S3 File Gateway
Volume Gateway
Tape Gateway
プロトコル NFS v3/v4.1, SMB iSCSI(ブロック) iSCSI VTL(仮想テープ)
バックエンド S3(全ストレージクラス) S3 + EBS Snapshot S3 Glacier / Glacier Deep Archive
典型用途 オンプレのファイル共有を S3 に移行 オンプレ DB のバックアップを AWS に 物理テープを仮想テープで置換
ローカルキャッシュ あり(頻繁アクセスデータを高速化) あり(Stored / Cached の2モード) あり
ユースケース データレイク取り込み・バックアップ DR バックアップ・クラウドバースト テープ置換・長期アーカイブ

試験での要件キーワード

  • 「既存のファイルサーバーアプリを変更せず S3 に移行したい」→ S3 File Gateway
  • 「オンプレミスの DB バックアップを AWS に送り続けたい」→ Volume Gateway(Cached モード)
  • 「物理テープライブラリを廃止して AWS でテープ管理したい」→ Tape Gateway
  • 「オンプレのデータをリアルタイムに S3 に転送したい」→ DataSync(量が多い場合は Snowball

7. サービス比較:5サービスの特性一覧

AWS ストレージ 5サービス比較
評価項目
EBS
EFS
FSx
S3
Storage GW
ストレージ種別 ブロック ファイル(NFS) ファイル(NFS/SMB) オブジェクト 仮想ゲートウェイ
マウント方式 EC2 に直接アタッチ NFS マウント NFS/SMB マウント HTTP API NFS/SMB/iSCSI
共有アクセス 原則単一(マルチアタッチは例外) 複数 EC2 同時 複数 EC2 同時 無制限 オンプレ → AWS
スケール 最大 64 TiB/vol ペタバイト(自動) 最大数十 PB ペタバイト(自動) バックエンド依存
耐久性 99.999%(AZ 内 3 コピー) 99.999999999% 99.999999999% 99.999999999% バックエンド依存
料金モデル プロビジョン容量課金 使用量課金 プロビジョン容量課金 使用量課金 データ転送 + 稼働時間

8. 要件キーワード早見表

SAA-C03 のストレージ問題は、問題文のキーワードから最短1秒で答えを特定できるようになるまで練習すること。

キーワード正解サービス理由
「EC2 のデータベース用ディスク」EBS io2高 IOPS ブロックデバイス
「EC2 停止後もデータを保持」EBS(Instance Store は不可)永続ブロックストレージ
「複数 EC2 で同じファイル(Linux)」EFSNFS v4.1、マルチ AZ 対応
「Windows ファイルサーバー移行」FSx for Windows File ServerSMB / AD 統合
「HPC・機械学習の高速ファイル共有」FSx for Lustreサブミリ秒レイテンシ、S3 統合
「10年保管のアーカイブ(最安値)」S3 Glacier Deep Archive$0.00099/GB
「アクセス頻度不明のオブジェクト」S3 Intelligent-Tiering自動階層化
「静的ウェブサイトホスティング」S3 静的ウェブサイト低コスト・高スケール
「オンプレのファイルサーバーを変えず S3 へ」S3 File Gateway透過的 NFS → S3
「物理テープを廃止してクラウド保管」Tape Gateway仮想テープライブラリ
「大量データを一括・定期で AWS に転送」DataSyncスケジュール転送
「オフラインで大量データを AWS へ(100TB+)」Snowball Edge物理デバイス転送

9. 頻出ひっかけパターンと正しい打ち手

ひっかけ1:「共有ストレージ」で EBS を選ぶ

誤: 「複数 EC2 でストレージを共有したい → EBS を使う」
正: EBS は原則として1つの EC2 に専属(io1/io2 のマルチアタッチは最大 16 台、かつ同一 AZ のみ)。複数 AZ をまたぐ共有には EFS が正解。

ひっかけ2:Instance Store でデータを永続化しようとする

誤: 「高 IOPS が必要 → Instance Store を選ぶ」
正: Instance Store はEC2 終了・停止でデータが消える一時ストレージ。永続化が必要なら EBS(io2 Block Express で最大 256,000 IOPS)。Instance Store は「キャッシュ」「一時バッファ」のみ。

ひっかけ3:S3-IA をすべての低頻度データに使う

誤: 「アクセスが少ない → 全部 S3-IA にする」
正: S3-IA は最低保存期間 30 日があり、30 日以内に削除しても 30 日分の料金が発生。アクセスパターンが不明なら Intelligent-Tiering が安全。

ひっかけ4:DataSync と Storage Gateway を混同する

誤: 「オンプレアプリが継続的に使うストレージを S3 にしたい → DataSync」
正: DataSync は一括・定期転送ツール。アプリが継続的に NFS/SMB マウントして使うなら Storage Gateway(S3 File Gateway) が正解。

ひっかけ5:S3 One Zone-IA を Primary データに使う

誤: 「コストを下げたい → One Zone-IA に移行する」
正: One Zone-IA はAZ 障害でデータが失われるリスクがある。再作成不可能なデータには Standard-IA(3 AZ 冗長)を使うこと。


10. 次のアクションチェックリスト

  • EBS の4ボリュームタイプ(gp3 / io2 / st1 / sc1)と用途を暗記
  • EFS(Linux/NFS)と FSx for Windows(Windows/SMB)の差別化ポイントを確認
  • S3 のストレージクラスを「取り出し速度」と「最低保存期間」で整理
  • S3 Intelligent-Tiering が「監視料あり・取り出し料なし」であることを確認
  • Storage Gateway の3タイプ(S3 File / Volume / Tape)とそれぞれのユースケースを確認
  • DataSync と Storage Gateway の違い(一括転送 vs 継続統合)を説明できるか確認
  • 「複数EC2で共有」「単一EC2専属」「オンプレ連携」の3シナリオで即答できるか模擬問題で確認

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出典・参考情報