SAA 災害対策(DR)設計パターン4選|RTO/RPO・Backup & Restore・Pilot Light・Warm Standby・Multi-Site を要件文で即断する
AWS SAA-C03 でディザスタリカバリ(DR)は毎回出題される必須テーマ。本記事は DR を「コスト↑・RTO/RPO↓の一直線」に整理し、Backup & Restore(S3/AWS Backup でリストア)・Pilot Light(DB だけ常時稼働、他はコールドスタンバイ)・Warm Standby(縮退版が常時稼働、障害時にスケールアップ)・Multi-Site Active-Active(両リージョンで同時稼働)の4パターンを、要件文のキーワードから反射的に選べる粒度まで分解する。結論は「RTO/RPO の数字を要件文から拾い、コスト・運用複雑度とのトレードオフで必要十分なパターンを選ぶ」こと。
DR 問題を「より高機能なサービスを選ぶ問題」と誤解すると、コスト最適でない過剰設計の選択肢を毎回引く。 AWS SAA-C03 でディザスタリカバリ(DR)は、配点26%のドメイン2「弾力性のあるアーキテクチャの設計」のなかでも特に配点が高く、ほぼ毎回シナリオ形式で出題される。攻略の本質は、4つの DR パターンを**「RTO/RPO を短くするほどコストが上がる一直線のグラデーション」として捉え、要件文にある「◯時間以内に復旧」「データ損失は◯分まで」「コストを最小に」「リアルタイムで切り替え」**といったキーワードから、必要十分なパターンを一意に決めることだ。本記事では Backup & Restore・Pilot Light・Warm Standby・Multi-Site Active-Active の4パターンを、どの AWS サービスを使うか・障害時に何が起きるか・試験でひっかけに使われる差異はどこか、まで分解する。読み終えれば DR シナリオ問題をパターンマッチで解けるようになる。
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📑 目次
- 結論:DR 問題は「RTO/RPO の数字 × コスト許容度」で1本に絞る
- RTO と RPO の定義を30秒で押さえる
- パターン1:Backup & Restore(最安・最低 RTO/RPO)
- パターン2:Pilot Light(DB だけ常時稼働、他はコールドスタンバイ)
- パターン3:Warm Standby(縮退版を常時稼働、障害時にスケールアップ)
- パターン4:Multi-Site Active-Active(両リージョンで同時稼働、最高コスト)
- 4パターンの要件キーワード早見表
- 頻出ひっかけパターンと正しい打ち手
- 次のアクション チェックリスト
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1. 結論:DR 問題は「RTO/RPO の数字 × コスト許容度」で1本に絞る
SAA-C03 の DR 問題を最短で解く骨格は、**「要件文から RTO・RPO の目安とコスト制約を読み取り、その2軸で4パターンのどれかを1本に絞る」**ことだ。
4パターンは「コストが低いほど RTO/RPO が長い」という一直線のグラデーションを作る。Backup & Restore(最安・時間単位の復旧)→ Pilot Light(DB だけ常時稼働・十数分で復旧)→ Warm Standby(縮退版が常時稼働・数分で復旧)→ Multi-Site Active-Active(両リージョン同時稼働・ほぼゼロ停止)。要件文が求める RTO/RPO に対して「必要十分・コスト最小」の1パターンを選ぶのが正解であり、より短い RTO/RPO のパターンを選んでも「コスト最適でない」として誤答になる。
2. RTO と RPO の定義を30秒で押さえる
- RTO(Recovery Time Objective/目標復旧時間):障害発生から復旧までに許容できる最大の時間。「どれだけダウンしてよいか」。短いほど高コスト。
- RPO(Recovery Point Objective/目標復旧時点):障害時に許容できるデータ損失の量を時間で表す。「どの時点まで巻き戻っていいか」。短い(ゼロに近い)ほど高コスト。
3. パターン1:Backup & Restore(最安・最低 RTO/RPO)
概要
DR リージョンには何も稼働させず、スナップショットや S3 バックアップだけを定期的に取っておく。障害発生時に DR リージョンでインフラを一から起動し、データをリストアする。
- RTO の目安:数時間〜1日
- RPO の目安:バックアップ間隔(時間単位)
- コスト:4パターン中最安(保存料金だけ)
使用する主な AWS サービス
- AWS Backup:EC2・RDS・EFS・DynamoDB の自動バックアップを一元管理。リージョン間コピーを設定することで DR リージョンへ定期転送できる。
- S3 + クロスリージョンレプリケーション(CRR):データや AMI のアーカイブ先。
- AMI:EC2 のマシンイメージをスナップショットとして保存し、別リージョンにコピー。
- RDS 自動スナップショット:DB インスタンスを定期バックアップし、DR リージョンにコピー。
障害発生時のフロー
① 障害検知(プライマリリージョン全断)
② DR リージョンで AMI から EC2 を起動(数分〜数十分)
③ RDS スナップショットから DB をリストア(サイズ依存、数十分〜数時間)
④ Route 53 の DNS レコードを DR リージョンへ切り替え
⑤ アプリ動作確認→完了
4. パターン2:Pilot Light(DB だけ常時稼働、他はコールドスタンバイ)
概要
「パイロットランプ(種火)」の名前のとおり、DR リージョンではデータベース(コアデータ)だけを常時稼働させて最低限のインフラだけを「温めておく」。アプリサーバーや Web サーバーは停止または AMI だけを用意し、障害発生時に素早く起動する。
- RTO の目安:数十分〜1時間程度
- RPO の目安:数分(DB の非同期レプリケーション間隔)
- コスト:Backup & Restore より高い(DB インスタンスの常時稼働費用)
使用する主な AWS サービス
- RDS リードレプリカ(クロスリージョン):プライマリの RDS から DR リージョンへ非同期レプリケーション。障害時にリードレプリカを昇格させてプライマリにする。
- Aurora Global Database:より低い RPO(1秒未満)が必要な場合に採用。
- Route 53 ヘルスチェック+フェイルオーバールーティング:プライマリリージョンの異常を検知し、DNS を DR リージョンへ自動切り替え。
- AMI:アプリサーバー・Web サーバーは AMI として保存し、起動は障害後に行う。
障害発生時のフロー
① Route 53 ヘルスチェックがプライマリの異常を検知
② DR リージョンの RDS リードレプリカを昇格(数分)
③ DR リージョンで AMI から EC2 を起動 + Auto Scaling グループを有効化(数十分)
④ Route 53 の DNS が自動的に DR リージョンへ切り替わる
⑤ アプリが DR リージョンの DB に接続して稼働再開
5. パターン3:Warm Standby(縮退版を常時稼働、障害時にスケールアップ)
概要
DR リージョンで本番の縮退版(スモールサイズ・最小インスタンス数)を常時稼働させておく。アプリサーバー・DB・ロードバランサーすべてが動いており、わずかながらリクエストを処理できる。障害発生時は Auto Scaling で本番規模にスケールアップするだけで完全復旧できる。
- RTO の目安:数分(スケールアップのみ)
- RPO の目安:数秒〜数分
- コスト:常時稼働の縮退インフラ費用(Pilot Light より高い)
使用する主な AWS サービス
- RDS Multi-AZ+クロスリージョンリードレプリカ:DR リージョンでもリードレプリカが稼働しており、昇格時間を最小化。
- Auto Scaling グループ:縮退版(最小2台など)で待機し、障害時に本番規模(最大数十台)にスケールアップ。
- Application Load Balancer:DR リージョンでも稼働済みで、スケールアップ後即座にトラフィックを受ける。
- Route 53 フェイルオーバールーティング:ヘルスチェックで自動 DNS 切り替え。
障害発生時のフロー
① Route 53 がプライマリ異常を検知(ヘルスチェック)
② DNS が DR リージョンの ALB へ自動切り替え(数分以内)
③ DR リージョンの Auto Scaling が本番規模にスケールアップ
④ RDS リードレプリカを昇格(またはすでに昇格済み)
⑤ 縮退版が本番規模に成長して完全復旧
6. パターン4:Multi-Site Active-Active(両リージョンで同時稼働、最高コスト)
概要
プライマリとDRの区別なく、複数リージョンが同時にトラフィックを受け持つ。一方のリージョンが落ちても、他方が即座に100%のトラフィックを引き継ぐ。RTO はほぼゼロ、RPO もほぼゼロだが、コストは2倍以上になる。
- RTO の目安:ほぼゼロ(無停止)
- RPO の目安:ほぼゼロ(同期レプリケーション)
- コスト:4パターン中最高
使用する主な AWS サービス
- Route 53 加重ルーティング / レイテンシールーティング:各リージョンのエンドポイントへトラフィックを分散。一方の Unhealthy を検知したら100%切り替え。
- Aurora Global Database:1秒未満の RPO でリージョン間のデータを同期(プライマリから複数リーダーリージョンへ非同期)。フェイルオーバー時は約1分でリーダーリージョンを昇格。
- DynamoDB グローバルテーブル:マルチリージョンで同時書き込み可能。レプリカ間は自動同期。
- S3 クロスリージョンレプリケーション(双方向):S3 バケットをリージョン間で双方向同期。
7. 4パターンの要件キーワード早見表
要件文のキーワードから正解パターンを1本に絞る対応表だ。本番で即断するための「引き出し」として覚えてほしい。
| 評価項目 | Backup & Restore | Pilot Light 推奨 | Warm Standby | Multi-Site Active-Active |
|---|---|---|---|---|
| RTO の目安 | 数時間〜1日 | 数十分 | 数分 | ほぼゼロ |
| RPO の目安 | 時間単位 | 数分 | 数秒〜数分 | ほぼゼロ |
| DR リージョンの稼働状況 | 何も稼働なし | DB のみ稼働 | 縮退版が常時稼働 | 本番規模で常時稼働 |
| 障害後に必要な追加操作 | 多い(全起動+リストア) | あり(EC2 起動が必要) | 少ない(スケールアップのみ) | なし(自動切り替え) |
| コスト | 最安 | 安い | 中程度 | 最高(本番×2) |
| 正解になる要件キーワード | 「コスト最小」「RTO 数時間で可」 | 「中程度のコスト」「RTO 数十分」 | 「即座にトラフィック受付可」「RTO 数分」 | 「RTO/RPO ほぼゼロ」「ダウンタイムなし」 |
8. 頻出ひっかけパターンと正しい打ち手
9. 次のアクション チェックリスト
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- AWS S3 クロスリージョンレプリケーション(CRR) — Backup & Restore の基盤
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11. 関連サイト
AWS 公式
- AWS ホワイトペーパー:クラウドでのディザスタリカバリ(公式)
- AWS Well-Architected 信頼性の柱:DR 戦略(公式)
- AWS Architecture Blog:DR パターン解説シリーズ(公式ブログ)
- AWS SAA-C03 試験ガイド(公式 PDF)